理学療法士の視点から考える、つまずきと転倒予防

「最近、家の中でよくつまずくようになった」「何もないところで足が引っかかる」「以前より歩くことに不安を感じる」

このような変化はありませんか?
つまずきは、誰にでも起こることがあります。しかし、以前よりつまずく回数が増えた場合には、筋力やバランス能力、関節の動き、歩き方など、身体の機能が変化している可能性があります。
理学療法士は、歩く・立つ・座るといった日常生活の動作を評価し、安全に身体を動かせるよう支援する専門職です。
今回は、理学療法士の視点から、つまずきが起こる原因と転倒を予防するために大切なことをご紹介します。

段差につまずくシニア男性のイラスト

関節の動きや歩き方の変化

足首が動かしにくい、膝や股関節に痛みがある、歩幅が小さくなっているといった変化も、歩行の安定性に影響することがあります。
また、疲労や体調の変化によって、普段は問題なく歩けていても、足が上がりにくくなる場合があります。
このように、つまずきの原因は筋力低下だけとは限りません。複数の要因が関係していることもあるため、原因に合わせた対応が大切です。

こんな変化はありませんか?

つまずきのほかにも、次のような変化がないか確認してみましょう。

  • 歩く速度が以前より遅くなった
  • 歩幅が小さくなった
  • 椅子から立ち上がるときに手を使うようになった
  • 階段の上り下りが大変になった
  • 家の中で壁や家具につかまることが増えた
  • 靴下やズボンを履くときにふらつく
  • 外出する機会が減った
  • 転ぶことへの不安が強くなった
膝を痛めているシニア男性のイラスト

複数の項目に当てはまる場合は、筋力やバランス能力などが以前と比べて変化している可能性があります。
ただし、これらの変化だけで筋力低下などの原因を判断することはできません。痛みや神経の病気、視力の変化、服用している薬の影響なども考えられます。気になる変化が続く場合は、医師や専門職に相談しましょう。

つまずきをきっかけに、活動量が減ってしまうことも

一度つまずいたからといって、必ず転倒するわけではありません。
しかし、つまずく経験が増えると、「また転ぶのではないか」という不安から、外出や歩行を控えるようになることがあります。
身体を動かす機会が減ると、筋力や体力が低下し、さらに歩くことが難しくなる可能性があります。
つまずく → 転倒が怖くなる → 外出が減る → 身体を動かす機会が減る → 筋力や体力が低下する
このような悪循環を防ぐためには、転倒への不安を抱えたまま活動を減らすのではなく、安全に身体を動かせる方法を考えることが大切です。

つまずきからの悪循環のイラスト

理学療法士は、どのような点を確認するのでしょうか?

理学療法士は、つまずきがある方に対して、単に筋力を鍛えるだけではなく、身体の状態や実際の動作を総合的に確認します。
これらを確認することで、つまずきにつながっている可能性のある要因を整理し、一人ひとりに合った対策を考えていきます。

理学療法士が高齢者を見ているポイントのイラスト

筋力

足を持ち上げる力や、椅子から立ち上がる力は十分か。

バランス力

立っているときや歩いているときに、身体を安定させられるか。

歩行状態

歩幅や足の上がり方、方向転換の際の安定性に変化はないか。

関節の動き

足首や膝、股関節が必要な範囲で動いているか。

生活環境

自宅の段差や廊下、履物、外出時の環境などに危険がないか。

通所リハビリでできること

屋外歩行練習の写真

「最近、つまずくことが増えた」「歩くことに自信がなくなってきた」「転倒を予防して、今の生活を続けたい」
このような方にとって、通所リハビリも選択肢の一つです。
通所リハビリでは、医師の指示や身体の状態を踏まえ、理学療法士などの専門職が筋力、バランス能力、歩行状態、関節の動きなどを確認しながら、一人ひとりに合わせたリハビリを行います。

例えば、足を持ち上げる運動、立ち上がりの練習、バランス練習、歩行練習などを通して、日常生活に必要な身体機能の維持・向上を目指します。
大切なのは、単に運動を行うことではありません。
「自宅の中を安全に歩きたい」
「転倒への不安を減らしたい」
「自分で買い物に行きたい」
といった、その方が望む生活に合わせてリハビリを考えることです。

小さな変化に気づくことが、転倒予防の第一歩です

つまずきは、筋力やバランス能力、歩き方など、身体の変化に気づくきっかけになることがあります。
「年齢のせいだから仕方ない」と決めつけず、以前と比べて何が変わったのかを振り返ってみましょう。
そして、必要に応じて専門職に相談し、身体の状態に合った対策を考えることが大切です。

いつまでも自分らしい生活を続けるために。

仙台すこやかクリニックの通所リハビリでは、お一人おひとりの身体の状態や生活上の目標に合わせ、日常生活につながるリハビリを支援しています。
つまずきや歩行の変化が気になったときは、身体の状態を見直すきっかけにしてみませんか。

【この記事の監修】
医療法人星陵会 仙台すこやかクリニック理学療法士